毎日新聞
母から母へ 山口県萩市・伏谷江利子(35歳)
私は子どもが大嫌いだった。わがままな子どもに振り回されるのはまっぴらごめん。だから一生独身で自由気ままに暮らそうと思っていた。そんな私が縁あって結婚し、2児の母になった。長男は自閉症で、言葉も危険なことも理解できない。すきあらば家から脱走しようとする。目を離すと仏壇の線香やロウソクを食べたり、風呂場でびしょぬれになっている。私は長女に授乳しながら走って追いかけたり、気の休まる時がない。私の抱いていた子どものイメージをはるかに超える破天荒さだ。しかし長男に障害があると分かってから1年たち、私は強く寛容になった。人がどう思おうが関係ない。大切なのは子どものより良い成長だ。
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