2011年4月25日月曜日

『無限振子 精神科医となった自閉症者の声無き叫び』

MSN産経ニュース 
著者は女性の精神科医で、仮名を使っているが日本人である。30代半ばで、知的障害を伴わない高機能自閉症の診断を受けた。本書では苦しみ続けた彼女の生い立ちや壮絶な過去、そして再生への指向が赤裸々に綴(つづ)られている。ドナ・ウィリアムズの『自閉症だったわたしへ』(新潮文庫)を読んでいた彼女は、入院中、自分は自閉症だと確信した。そして全幅の信頼を置ける精神科の医師とセラピストのサポートのもとで、専門家から自閉症スペクトラムという診断を受け、ようやく障害と向き合うことになる。献身的な支援を続ける主治医とセラピストの解説が巻末に添えられているが、優しい眼差(まなざ)しで冷静に彼女を見つめる2人の姿勢は、こうした障害への理解を深める上で、大きな厚みをもたらしている。

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