2009年12月7日月曜日

交通事故死:重度自閉症に逸失利益認める

重度の自閉症だった長男は2005年8月、ヘルパーとともに路線バスを利用して札幌市内の公園へ出かけた際、乗用車にはねられ死亡した。運転手の損害保険会社は、重度障害者を理由に逸失利益を「ゼロ」と算定。両親が07年4月、ヘルパーと所属する特定非営利活動法人(NPO法人)、相手の運転手らに逸失利益を含めた賠償を求めて提訴し「将来、共同作業所などで働くこともあり得た。不当な差別だ」などと訴えていた。
裁判長が示した和解金の算出根拠は、道の最低賃金(年130万円)に係数を掛けた約1130万円▽重度自閉症を障害年金1級と想定して20〜65歳分の約430万円。これらは和解条項に明記されなかったが、両親の代理人によると、重度知的障害者の逸失利益が事実上、認められたケースは今回が初めてという。
こういうことが起こり得るとは想像できませんでした。健常者が交通事故で死亡した場合、その後の収入を算出すると損害賠償は億単位になりますよね。それが最初は、自賠責保険の支払限度額の3千万円のみって。かなり辛いです。

「重度の自閉症」、正確には自閉傾向を伴う重度の知的障害者が働いて収入を得るのはかなり難しいと思います。作業所で働くことは訓練であり労働ではありませんから、最低賃金を当てはめるのはちょっと不公平になるような気がします。複雑な気持ちです。確かに、見た目働けそうにないからゼロだというのが差別だというのはよくわかります。障害年金を受け取れるのを算出しなかったのは、損害保険会社が無知か悪質かだと思います。

和解成立後に記者会見した両親は「障害者の可能性を認めてもらえ満足しています」と話し、言葉を詰まらせた。

原告代理人の児玉勇二弁護士は「最低賃金を算定根拠に逸失利益を認めたもので、極めて画期的な内容」と評価した。
損害賠償論に詳しい立命館大法学部の吉村良一教授(民法)の話 逸失利益は人の命を金で測る便宜的な方法。これまでは、健常者の平均賃金という確実性の高いものだけが逸失利益を算出する物差しとされ、健常者と障害者で不合理な差が出ることもあった。それを修正するための一つの手がかりとして、障害者の逸失利益の算出に最低賃金を用いたことは大きな問題提起。和解でなく、判決であればもっと強いインパクトがあった。
判決ではなく和解ですので、判例としては残らずに特殊な例になるのでしょうか。裁判の詳細はわかりませんが、ご両親、弁護士さん共にすごくがんばられたことが感じられます。

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